観光写真にもよく掲載される橋の上からの水沼駅の風景

終の棲家としての「移住」

 2019年3月14日に群馬県桐生市に引越してきました。タイトルに「移住」とありますが「移住」から連想するイメージは「今までの生活基盤(仕事など)を捨てて見知らぬ土地で暮らすこと」ではないでしょうか。小学校高学年から大学生まで首都圏(所沢)におり、社会人になってから北関東(舘林・佐野)そして直近では長野県軽井沢町に半年ほどいました。転職にあたり群馬県桐生市に移住してきたわけですがもともと北関東にいたこともあり単なる転職に伴う「引越し」ではないかと思われるかもしれません。「移住」というワードにはもうひとつ重要な要素があります。それは「終の棲家になるかもしれない」というメンタル的な要素です。乱暴な言い方をすれば20-30代であれば首都圏でマンションからマンションへと引越すのと同じ感覚で(仕事が許されればですが)自分にあわなければ新たに引越すことも可能だと思います。しかし人生の半分近くをすでに生きた人にとっての引越しは常に「終の棲家」になる可能性をはらんでいます。つまり「老後をどのように暮らすか」ということも想像しながら場所を選ぶ必要があるわけです。

家の前を流れる桐生川支流・高沢川の淵

一般的な「移住」とは

 よく見かける移住本や移住サイトは基本的法則として2つの潮流があると思います。ひとつは「都心(特に東京)からの移住」をすすめるもの。ふたつめはYoutubeの人気動画にあるような「古民家をDIY」、「畑で作物をつくる」といった普通の人にはハードルが高い内容のものです。後者はある意味、仕事であったり(つまりネタとしての移住)、趣味の延長にありますから除外したとしても共通するのは「普通の人ではできないことをする、体験できる」という差別化から移住を選択しているのではないでしょうか。この差別化、例えば田舎に行けば「自然がたくさんある」「自分で畑が耕せる」「DIYで家が建てられるかも」などを重視するあまり、近隣は普通の生活をしていることを忘れてトラブルに発展するのではないかと思っています。もちろんこうした都心にはないものを求める行為は当然です。田舎の者が都心にあこがれを抱いて上京するのと変わりないかもしれません。都心の場合は周りが上京してきたものばかりなので摩擦がないのでしょう。

忍山川上流部の杉林(忍山林道より)

  私は幸い、下記の4つを経験しています。

・都心生活 - 大学生まで首都圏(東京)に通っていた(住居は所沢)
・北関東生活 - 社会人の時に会社ごと群馬県館林市へ移転。その後栃木県佐野市へ引越し。この間に軽井沢に別荘を購入
・軽井沢 - 仕事を辞め、別荘から自宅として半年間暮らす
・群馬県桐生市へ転居 - 転職に伴う移住
 ※ 子供のころに父親の仕事の関係で宮城県仙台市(ちょうど宮城県沖地震があったころ)にいたこともあります。

 つまりいいかえれば

・都会生活
・地方都市生活
・リゾート地での別荘生活と定住生活

を体験しており、いずれの長所・短所も把握しています。これらを踏まえたうえで群馬県桐生市への移住をおすすめしていきます。

軽井沢退去時の様子。前日に大雪が降って一番いい写真が最後に撮れました。

移住候補地としての桐生市

 桐生市も移住対策にのりだしており、補助金などの政策をとっています。しかしながら移住対象者が東京からであったり、場所が黒保根のほうであったりとまさしく都心の方がイメージする田舎への移住をターゲットにしています。私がおすすめするのはむしろ近隣都市の両毛地域から前橋・高崎あたりの方が桐生市を選んでほしいと思います。なぜなら東京からの移住の場合はまず「仕事をどうするか」というハードルをクリアしない限り移住はできません。私の場合、次の仕事が太田市で近隣都市(太田市、足利市、桐生市、伊勢崎市、前橋市)を見比べたところ

・家賃が安い(5万ぐらいが上限)
・広い(100平米ぐらい)
・自然はあるが生活に不便しない

の3条件を見事にクリアしたのが桐生市梅田町といって少々田舎のところでした。それと実は平屋というのも大きなポイントです。連れもそろそろ2階建ては老後難しいだろうと感じていましたから。桐生市の物件はあえて最後に内覧を行い、ほかの候補地(最終的に足利と太田)のほうが良く見えるだろうという算段の軽い気持ちでの選択でした。結果的には今までイメージしていた「桐生」とは異なるいい場所だったという思いから大逆転してきまった次第です。

 実際に住んでみて良いところもあれば当然悪いところもあります。それらを率直に語ったうえで桐生市へ移住してみようかなと思う方の参考になればと思います。もちろん近隣のみならず東京などの都心からの方へも有益な情報を提供していきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。