模型店開業の実務基礎知識 その1 – 桐生模型学校オープン

1980年代~1990年代の模型雑誌

職業としての模型業界

 職業としての模型、あるいはホビーを選んだ方は大半がもともと趣味だったとか親がやっていたなどいろいろとあると思います。ひと昔前(1990年代ぐらいまででしょうか)は「退職したら模型店を開業する」という退職金をあてにした老後の楽しみ(?)としてのフレーズがありました。自分は客待ちをしながら毎日模型をつくり、店番は奥さんが担う。そして来店する趣味のあった客と交流するというスタイルに憧れをもった方が多数おりました。もちろんその夢はほとんどが実現はしていません。退職金が今となっては昔の話となり、数ある個人経営の模型店、玩具店が主人の引退ととも閉店しております。どの町にも模型店は数店はあった時代から各市町村に1店あるかどうかとなり、ほかの業界同様に購入はネットが主流となる中で「模型店」の商売モデルはもはや斜陽産業になりつつあります。しかしながら趣味を仕事にしようと思う方は後を絶ちません。きっかけはともかく「趣味を仕事にする」ということはいいことだと思います。それが商売になるかは別の話ですが・・・

 このブログでは「職業として模型・ホビーを選ぶかどうか」が主眼ではなく「職業として模型・ホビーを選んだ場合どうすればよいか」に重きをおいています。やりたくてしょうがない情熱は止めようがありません。基礎知識を事前にもてばやめるという選択肢もあります。しかし市場規模の小さい模型業界はビジネス本や起業サイトにもノウハウはでてきません。私はすでに引退しましたがどうしても模型店(あるいは模型関連のお仕事)をやりたいという方たちをスタートラインにたたせる情報を発信すべく「桐生模型学校」をオープンしました。観念的、抽象的ではなく可能な限り現実的な事実としての実務知識を目指したいと思います。模型製作のテクニックを伝授する学校ではありません。念のため。また必ず儲かるともいいません。

 ただし、人から聞いた内容や伝聞を含んだり、情報が少々古かったりする場合もありますのであらかじめご了承ください。

模型、ホビー、玩具の定義は?

 「定義」というといっきょにアカデミックに聞こえますが難しくはありません。ただこの分野、つまり模型、ホビー、玩具といった分類がそのまま商品仕入れに直結しますので一度整理しておきます。

「模型」 - 何かを模したもの

つまり「模型」というワードには何かを形(3次元)にしたものを指します。これが創造上のキャラクターであっても模型ですし、住宅模型や車の試作品、マネキンなど広義の意味でとらえるとかなり範囲が広がります。今回はあくまでも商業・物販を目的にしたと限定します。狭義としてはプラモデル(プラモデルは商標なので正式にはプラスチックモデルキットになるでしょうか。ただしこのブログではプラモデルで統一します)、フィギュア、鉄道模型、ミニカー(ヒコーキも含む)、エアガン(モデルガン)あたりがメインの商材分野になります。レジンキットはどうすんだという声もありますがこれも模型です。つまり「何かを模した商品」が「模型」です。縮尺や組立がいるかどうかは関係ありません。

これに対して「ホビー」とは対象物や使用目的に焦点があたります。つまりキャラクターグッズ(アニメのマグカップやポーチなど)を含みます。印刷物でもホビー商品です。ただしその境界は極めてあいまいです。ある意味、「ホビー」というワードは「模型」概念を抱合していると思って問題ありません。ここでの「模型」と「ホビー」はほぼ同義として扱います。

 「玩具」とはトイ、おもちゃといわれホビーアイテムと領域が重なりますが微妙に異なりもします。模型と玩具は違うのかといわれれば広い意味では同じカテゴリーですが流通は異なります。よってここでは「玩具」は「模型」あるいは「ホビー」とは別の分野ととらえます。流通事情が異なる理由は商品ならびに流通の歴史を語らねばなりませんのでここでは割愛します。現在人気のあるバンダイコレクターズもスタート時はボーイズ玩具の一部門だったためホビー流通には商品がなかなか入ってこないことがありました。

 最後に似たようなジャンルに「雑貨」という流通ルートもあります。ファンシー雑貨や女性向けキャラクター(サンリオ、ディズニーなど)はこれとは別に存在します。詳しくは省略しますが存在だけは知っておいてください。

商売としての分類

 このブログをお読みの方でこれから起業・開業しようという方の大半はある程度「この分野」をやりたいという何らかのビジョンがあると思います。たとえば

「フィギュア専門のネットショップで予約をうけたら発注する」
「鉄道模型専門店を開いて大きなジオラマで集客したい」
「ミリタリー専門店にして海外の輸入品の品ぞろえ豊富なショップにしたい」
「本業とは別にミニカーを来店したお客に販売したい」

などなど。ホビーショップをやりたいが何を扱ったらいいかわからないという方はいないと思います。ある程度の構想あるいは思いつきのアイデアがあるはずです。すると希望の商品群と先ほどの定義づけに該当する卸問屋がおのずと判明します。問屋の分類としては下記の通りです。

1.ホビー問屋(模型問屋)
 メイン商材 - プラモデル、フィギュア、鉄道模型、ミニカー、ラジコン、工具素材塗料
 サブ商材 - メジャーメーカー玩具、カード、キャラクターグッズなど
2.玩具問屋
 メイン商材 - 玩具
 サブ商材 - プラモデル、ジグゾーパズルなど
3.雑貨問屋

大まかに分けるとこの3つです。この中で鉄道模型に強い、フィギュアはいまいち、在庫はどうかなどの特性がでてきます。また商品の調達方法(商品案内から発注・納品まで)も異なります。希望のアイテムが決まっているのであれば問い合わせ先がだいたいきまってくるでしょう。

卸問屋に問い合わせる前に

 商品の仕入れは「メーカー」直接取引ではなく、卸問屋が主流です。ご存じかと思いますが「問屋」とはメーカーから商品を仕入れて店舗に商品を卸す会社のことです。まれに問屋にいって商品を買えないかという消費者がいるようですがよほどのことがない限りNGです。あくまでも商売として商品を卸してもらう必要があります。よってオープンを決めていない段階では取引はできません。「そんなことより早く卸問屋を教えろ」という声がそろそろ聞こえてきそうですがちょっと待ってください。

 よく「模型店を開業するという話しをすれば「ぜひうちから買ってください」と歓迎されるだろう」と思って心躍りながら相談すると間違いなく返り討ちにあいます。実際に問屋に相談しにいくとこんな質問がでるでしょう

「模型店オープン?やめたほうがいいですよ」
「商品を事前に発注しても希望数はだせませんよ」

などなど否定的なワードが飛び交い、言い換えれば「うちから買わなくてもいいよ」と言われているようで想定していなかった相談者は打ちのめされることになります。相談した担当者が悪かったに違いなと勝手に解釈してよその問屋にいっても同じような仕打ちをうけ、モチベーションがさがります。彼らの親切心からでているとしてもなぜ商売をしていながら自分たちの扱っている商品の販売を「やめたほうがいい」といわれるのかは模型業界の特性その1といえるでしょう。初心者にありがちな(特にネット運営者)「注文をうけたら商品を卸してください。できたら注文者に発送もお願いします。」などと言おうものなら100%門前払いされます。問屋と取引するにはこのハードルをまず乗り越える必要があります。この状況を理解するためにはメーカー・問屋・店舗の流通事情を語らなければなりません。

今日はこのぐらいにして次回は模型流通の特性をもう少し詳しく説明します。

第2回目の講義へ続く - 桐生模型学校 その2 - 模型・ホビー業界の流通背景 -

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