桐生模型学校 その5 - 模型・プラモデルの卸価格・掛率

ホビーアイテム・プラモデルやフィギュアは問屋でいくらで買えるのか?

タカラ デュアルマガジン 1985年第11号

 このブログでは桐生模型学校と称してこれからホビーショップ・模型店を開業したい、あるいはネット通販でプラモデルなどを扱いたいという方を対象に業界の実務基礎知識を書いています。模型製作のHow To がテーマではありません。念のため。
 前回の記事(桐生模型学校 その4 - 模型・プラモデル問屋からの仕入れ)では「ホビー業界おすすめ模型問屋5社」をお伝えしました。今回は仕入条件のお話しです。

「ホビーアイテム、プラモデル・フィギュア・鉄道模型・エアガンなどは一体いくらで仕入ができるのか?」

という質問は一番気になるところであり、今後の利益や開店したあとの計画をたてる際に必須事項です。どの業界にも商慣習があり、だいたいの仕入掛率(問屋が何パーセントで卸すのか)はだいたい決まっていると思います。例えば出版業界であれば75~83%、雑貨であれば50~60%など。ではホビー業界についてはどうでしょうか?

ホビー業界の掛率をメーカー・問屋・小売店・消費者(お客様)と商品は流れていきますが説明は逆をたどって説明します。

1.小売店からお客様へ販売する価格
2.問屋から小売店への掛率
3.メーカーから問屋への掛率

小売店からお客様に販売する価格

 定価という言葉がありますがすべての商品を定価で売っているお店はもう少ないでしょう。つまり模型店では割引をして売っていることになります。だいたい2割引きから一部定価というのが一般的な価格ゾーンでしょう。ネット通販の場合だと25~30%OFFという場合もあるかもしれません。ホビー商品はお客様が定価を知っているというジャンルのひとつなのでお客様もこの割引率は重要項目のはずです。

一般的に小売店は「粗利30%確保」が命題になっています。(とはいっても実際には27-29%ぐらいになる)そして

プラモデルの仕入掛率は60~65%が標準
実店舗の割引率は10~15%(ネット通販の場合は15-25%)の割引

仮に仕入掛率が60%で割引10%なら売上に対して33%の粗利が確保でき、15%OFFなら29%の粗利となります。ネット通販が実店舗より安く販売しているのは仕入先が違う、例えばメーカーと直接取引している、仕入原価が安いということではなく固定費が少ないため目標とする粗利が一般的な30%ではなく20-25%と低いからです。例えば仕入掛率60%を25%OFFで販売すれば粗利は20%となります。よく大量に仕入れているところは仕入価格が安いといわれますがホビー業界は大幅には変わりません。この説明はのちほどします。

 店舗の場合は塗料は定価販売するなどジャンルや商材、価格帯によって割引率を変動させますがネット通販の場合は「仕入掛率がXX%だから割引はXX%OFF」と一律で決めてしまう傾向があるようです。

問屋から小売店への掛率

プラモデル総合問屋富士模型

 ホビー業界は条件をふくめていろいろと覚えることがたくさんあります。仕入掛率もその一つです。覚え方としては

1.通常の条件を覚える
2.例外事例を個々に覚える


の方法が有効です。ただし2.の例外がたくさんあるので複雑にみえるだけです。まず1.の「通常の条件」は下記の通りです。

・プラモデル、鉄道、ラジコン、塗料工具、エアガン - 60~65%

すでに記載しましたが通常の仕入掛率は60~65%だということです。では例外とはどういうことかというとバンダイのガンプラを例にだすと

・ガンプラ - 62~68%

2018年まではガンプラも通常の掛率でしたがメーカーからの掛率(歩引き)の改定がなされ小売店への卸掛率が変わったので例外扱いとなりました。比較的歴史のあるプラモデルは通常の条件が多いのですがフィギュアなど新たに確立されたジャンルはもともとの掛率が高かったり、新規メーカー(例としては工具メーカー ゴッドハンド)も卸掛率が高くする場合があります。このようにして通常条件以外のジャンルやメーカーが増えていきますので例外条件がどんどん増えていくことになります。

 個々の事例を覚えることとあわせて覚えてもらいたいことは

・小売店への掛率はメーカーからの仕入掛率に対して10%のせている

ということです。つまり先ほどの通常プラモデルの場合、メーカーから問屋へ55%の掛率で卸し、小売店へ65%で卸すという流れということが理解できると思います。※例外も存在はしますがここでは省略(工具などはメーカーから45~50%で仕入など)

 そして先ほどから通常プラモデルは60~65%とお伝えしていますがもうひとつ重要なポイントが「~」の部分です。だいたい5%ほど差があるのは問屋と小売店の間でかわす条件交渉の余地を表しています。つまり飛び込み現金での購入や一見さんだと65%だが最初の交渉で毎月の仕入額を予想して仕入掛率を60%にしてもらうなどということができるという意味になります。例外の商材もありますが交渉次第では一見さんの条件より5%はさげることが可能です。ウン十年取引をしているお店より新規開店したお店のほうが条件が良かったということも珍しくはありません。取引量が増えたら交渉するよりは最初に条件を引き出すほうがスムースだと思います。その点は後日お伝えしたいと思います。

メーカーから問屋への掛率

角川書店ニュータイプ初期の表紙
角川書店ニュータイプ初期の表紙

・小売店への掛率はメーカーからの仕入掛率に対して10%のせている

ということはすでにお伝えしました。問屋から取引を開始すると新商品案内がきます。案内に記載されている掛率を見ればメーカーからの仕入掛率が予想できるはずです。問屋と交渉する際にプラモデルを55%にしてくださいということが不可能なことがこれで理解できるはずです。メーカーの製造原価は把握しきれていませんがおおむね30-40%のゾーンと思われます。

まとめ

 通常プラモデルに限定してまとめると下記の通りです。

・メーカーの製造原価は30-40%
・メーカーから問屋へ55%で卸す
・問屋から小売店へ60-65%で卸す
・小売店は10~15%OFFで販売


プラモデルに限定しての業界の仕入掛率についてお伝えしました。近年は定価を維持するためいわゆる掛高(かけだか)商品が多くなっていて近い将来にはプラモデルは全体的にコストアップするのではないと思っています。次回またお会いしましょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です