桐生模型学校 その4 - 模型・プラモデル問屋からの仕入れ

模型・プラモデル問屋からの仕入れ
模型・プラモデル問屋からの仕入れ

 第3回まで模型・ホビー業界の実務知識を体系だって展開しようと思っていましたが方針を転換しました。大きくしすぎると書き込む前に知っておくべき前提条件が多すぎて時間がかかるためトピックを細分化していきます。記事がある程度できたらインデックスでまとめていくことにします。

模型・ホビー商品をどこで仕入をしたら良いのか?

 桐生模型学校ではまだ模型店を商売としてスタートしていない人、つまりこれから「模型店を開業しよう」「ネットでプラモデルを売ってみたい」という人が対象です。ホビー業界は原則、問屋で仕入を行うと「桐生模型学校 その2 - 模型・ホビー業界の流通背景」で説明しました。問屋は扱い商材によって大きく3つに分かれます。

1.ホビー問屋(模型問屋)
 メイン商材 - プラモデル、フィギュア、鉄道模型、ミニカー、ラジコン、エアガン、工具素材塗料
 サブ商材 - メジャーメーカー玩具、カード、キャラクターグッズなど
2.玩具問屋
 メイン商材 - 玩具
 サブ商材 - プラモデル、ジグゾーパズルなど
3.雑貨問屋

今回はホビー問屋(模型問屋)に限定してすすめていきます。つまりプラモデル、フィギュア、鉄道模型、ミニカー、ラジコン、エアガン、工具素材塗料が仕入のメインになります。

ホビー業界おすすめ模型問屋5社

ホビー業界おすすめ模型問屋5社
ホビー業界おすすめ模型問屋5社

 25年近く模型業界にいた私がおすすめするのは下記の5社です。(アイウエオ順)

株式会社イリサワ
大阪プラスチックモデル
東海模型
ブンカ(※子会社サンエーも含む)
・宮沢模型

 この5社でホビー業界で扱っている商材の9割以上はそろいます。そしてこのうち1社ではなく数社と取引をすることをおすすめします。他にも模型問屋はありますがこれで日本全国の模型店はカバーできます。そして5社を選んだ理由は

1.年商が50億以上である
2.ホビーアイテムのジャンルをひととおり網羅している

の2点からです。年商50億というのが私が思う総合ホビー問屋としての最低限の金額と考えています。取り扱い額がすくなくなると問屋がかかえる在庫量が明確に減るため扱えないメーカー、商品がでてきますので問屋にもある程度の年商が必要となります。2.については各社に特徴があり、鉄道に強い問屋、フィギュアはいまいちといった問屋などと多少の差はありますが取り扱いはしていますので開業するコンセプトと合致していれば問題ないでしょう。

複数の問屋と取引をすすめる理由

 複数の問屋と取引をすすめる理由は下記のとおり。

1.情報の収集と正確性をとるため
2.条件交渉しやすいため
3.供給の少ない商品の確保

 「情報の収集と正確性」は原則問屋の情報は横並びですが微妙に卸値が違っていたり、数の少ない商品だと案内をださないところがあります。また流通在庫といわれるメーカーにはないけど問屋にはあるという商品も多数ありますので仕入先が複数あったほうが仕入できる可能性が高まります。

「条件交渉」は問屋との掛率や送料などの取引条件のことです。模型業界は横のつながりがないので他店での条件が判明するケースは多くありません。よって取引をウン十年続けていても新規の取引量が少ない取引先のほうが好条件ということがおこります。最近ですと掛率変更などの新規条件の際に複数仕入先があったほうが交渉しやすいはずです。

「供給の少ない商品の確保」とありますがメーカーからの供給がすくなく問屋から店舗への希望数量がすべて供給できない商品の確保を意味します。よく「割当(わりあて)」「ショート回答」などと表現されるものです。例えば店舗からの希望数量が10個とした場合、問屋A社で10個を目指すよりA社とB社に各5個ずつ発注したほうが10個により近づきます。場合によっては各社1個しか供給できないケースもありますがどの取引先も1個は最低でも確保してくれますので取引先が多いほうが仕入数が多くなります。

複数取引する場合の注意点としては複数発注をしますので発注の管理と配分に手間がかかります。どの問屋も条件ならびに扱い商品に変化がないため同じ商品を分ける必要がでてきます。1個しか発注しない場合だと片方にしか発注できませんのでメインをA社、サブをB社とするのがよいでしょう。

どの商売もそうだと思いますが大きい金額より取引回数を重視します。(例 100万の仕入より10万の仕入を10回するほうが良い)定期的な発注、可能であれば最低1週間に1回程度であれば継続的な取引先として覚えてもらえると思います。

模型問屋各社の概要

模型問屋各社の概要
模型問屋各社の概要

 私は5社とはすべて取引していましたので各社の特徴をしっています。ただし2019年夏までの情報なのでその後、変動があるかもしれません。予めご了承ください。この中での優劣はあまりありません。問い合わせをした担当者にもよりますのでこの中からいいなと思う問屋で取引をすすめるのが良いでしょう。(模型問屋のサイトコンテンツの更新頻度は低いのサイトだけで判断は難しいと思います。)

1.株式会社イリサワ

株式会社イリサワ
〒111-0051 東京都台東区蔵前4-2-1
http://www.irisawa.jp

 蔵前一丁目交差点から見えるイリサワビルが本社ビルでこの中に第2、第3営業部があり、近くに第1営業部があります。また模型問屋だったシンポを買収して現在横浜営業所として開設しています。

第1営業部 プラモデル、フィギュア、ミニカー、エアガン、書籍、塗料素材工具
第2営業所 鉄道模型
第3営業所 ラジコン

となります。昔は第5営業所にミニカー、第6営業所が玩具となっていましたが今は第1営業所に集約されています。また海外模型輸入会社ビーバーコーポレーションを創業者の小野田氏から買収しましたがホビーリンク・ジャパンへ売却。私が引退した直後にイリサワは玩具問屋のハピネットに買収されています。2代目社長の入澤氏に子供がいないため後継者問題は話題にあがっていましたので話を聞いたときには驚きはしましたが同時に納得もしたのを覚えています。買収発表直後の話ではイリサワ社側での買収による影響はまだないようです。ハピネットは大手企業への販路が多く、ホビー流通は他のホビー問屋よりも高いためこの分野では弱い印象がありますので好転する可能性はあるでしょう。

 良くも悪くも人で成り立っている問屋でイリサワ社長(現会長)も昔はアカデミーを扱ってタミヤから怒られたなど新規商材も積極的に行う風潮があります。イリサワ社長(現会長)も論理的というよりは昔ながらの義理や人情のほうに重きをおいていたと感じます。

長所
 商品も比較的スケールと呼ばれる(ヒコーキ、戦車、クルマなどのプラモデル)ジャンルからキャラクターにいたるまでまんべんなく扱い偏りが少ない
 自社ロングセラー商品 Vカラーがある(ソフトビニール用塗料)
短所
 取引先に大手量販店が少なく、バンダイのプラモデルなど大手が欲しがる商品の供給が少ない
 玩具ルートがないのでバンダイコレクターズアイテムの掛率が高い(ハピネットからの仕入れのため)
 ハピネット買収による効果が不明

2.大阪プラスチックモデル

大阪プラスチックモデル
大阪府松原市大堀1丁目3番21
http://www.puramo.co.jp

 すでに故人となりました吉村氏が開業。もとは同じ模型問屋のダイモ出身と聞いております。ご存命の最中にご親戚の太田氏が社長と専務(お二人はいとこ同士)に譲られ現在にいたっています。大阪の模型問屋は中央区松屋町に集まっていましたが大阪プラスチックモデル(以下大プラ(だいぷら))は2005年には現在の場所に移転しています。早い段階で旧問屋街から移転することで流通の基本である場所(保管と作業場)を確保したのは素晴らしいと思います。部門は下記の通り

ホビー部(プラモデル・フィギュアなど)
ラジコン部
鉄道模型・GUN部
ミニカー部

に分かれています。大阪の問屋はラジコンに強いという印象はあります。ここ10年でラジコンとフィギュアで急速に拡大し、最近では「おおさかホビーフェス」を企画されたりと関西方面では勢力的に活動されています。

長所
 ラジコンやフィギュアに強い
 どちらかといえば全般に強いというより売れている商材・ジャンルにシフトするようにみえる
短所
 スケールプラモデルの在庫が薄い
 社内の管理体制がしっかりしすぎて融通がききにくい

3.東海模型

東海模型
〒452-0802 愛知県名古屋市西区比良4丁目1番地
http://www.tokaimokei.co.jp

 名古屋にある模型問屋でここの大プラ同様に早い段階で移転・集約した問屋です。ここの特徴は社長の酒井氏が個性的な方でまさに1代で築き上げたという貫禄があります。タミヤ会長より少し下の年齢と思いますがまだ精力的にお仕事されているはずです。ご子息も常務としていらっしゃいますので後継者問題もありません。私はある程度の取引額ができてからのお付き合いだったので「0から一緒にスタートしましょう」というより「お互いにもっと商売を大きくしましょう」という印象があります。社内には扱い商材による部門はあるはずですが私の場合、各担当者とやりとりしていましたので部門の存在すら感じませんでしたね。

長所
 トップダウンの問屋
 大きい取引をあとからとってくるというような営業を行う(よってバンダイプラモデルの量は多いかもしれません)
 タムタムとの取引があるので商材は全般的に広い
短所
 取引額が少ないと割当が極端に少なくなるかも
 バンダイコレクターズがハピネット仕入で掛率が高い

4.ブンカ(子会社サンエーを含む)

ブンカ
本社 〒111-0053 東京都台東区浅草橋5-24-6
http://hobby-bunka.com

サンエー
135-0016 東京都江東区東陽3-13-1

 ブンカは本社の他に札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、福岡に支店を持ち、子会社サンエーを抱える問屋です。連結決算で100億を超えていたと思います。(現在は100を下回っていると思いますが)それまでの三ツ星商店倒産後の最大手です。「全国に拠点を構える」=メリットだった時代、つまり顧客が問屋までに買い付けにくるとい場合は各支店に在庫を持つメリットがありますが現在は東京ないしは流通センターからの物流にしているとこのメリットが生かせていないと思います。しかしながらプラモデルの取り扱い量は多く、昔に獲得した歩引きなどのメリットは以前として残っていると思います。その反面、新規商材(例えばフィギュアなど)の対応が遅く、小回りのきかない巨人になりつつあるようです。

 子会社サンエーは新規流通部門として誕生しました。現在はトイザらスや大手書店のホビー部門を担当するなどブンカでは対応しきれない小回り対応をしているようです。また名古屋支店は旧模型問屋三ツ星商店名古屋支店で他の支店とは少々異なります。大手量販店が取引先にあるせいもありますが社風がちがうようです。

長所
 いわゆるプラモデル(タミヤなど)は強い
 (昔は)歩引きが多かったせいか掛率の安さも営業提案してきた
 バンダイプラモデルなどもブンカ全体でみれば取り扱い量が一番多い時もある
短所
 支店の担当(地方課)の人材が薄い(在庫問い合わせしても即答できない担当が多かった)
 新規事業(ガレージキット、フィギュアなど)の対応が不得手

5.宮沢模型

宮沢模型
〒130-0015 東京都墨田区横網2丁目6-1
サイトはなし

 余談ですがずっと横網(よこあみ)を横綱(よこづな)と呼んでいました。近くに土俵のあるレストランもあって。1990年代後半には年商50億はいっていなかったと思います。現在、推測ですが150億は超えているでしょう。模型問屋の中では最大手になり、現在のビルは旧模型問屋三ツ星商店の配送センターです。京都営業所が昔ありましたが現在は閉鎖。そのかわり越谷にある流通センターは2018年(?)に増床移転したはずです。

 宮座模型の急成長は端的に言えば家電量販(ヨドバシカメラ)とAmazonとの取引につきます。今でこそこれらのところで購入することが当たり前ですが当時は商品がわからない店舗に卸すことに難色を示していました。つい最近までグッドスマイルカンパニーにおられた明利氏が当時Amazonの仕入れ担当で宮沢担当とホビーアイテムの扱いをすすまたとききおよびます。ネット業者への販売がネット販売に対する理解と物量をさばくことが量販店対応にうまくあらわれ、全体の物流がまわることで取引している他の店舗へも好転したという事例ではないでしょうか?

 もともと「鉄道模型の宮沢」といわれ天賞堂などが扱える数少ない問屋ではあります。しかしながら模型流通は宮沢を中心にまわっているといっても過言ではないと思います。いろいろと理由がありますが私は「宮沢は基本的に断らない」という比較的立場が上の方の発言を聞き、これが業績につながったと思います。その方いわく、売上がある問屋は新規メーカーなどの売り込みも面倒なので断られたが宮沢は断らなかったそうです。

長所
 模型全般をあつかえ、物量も多い
 新興メーカーへの対応も早い
 バンダイプラモデルなどもブンカ全体でみれば取り扱い量が一番多い時もある
短所
 取り扱い店舗が多いため、場合によって商品の割当数量が一番少ないことがある
 支払いサイクルがたしか15日と少々短い

模型・プラモデル問屋からの仕入れ まとめ

模型・プラモデル問屋からの仕入れ まとめ

・ホビー業界は原則、問屋で仕入
・ホビー業界おすすめ模型問屋5社
  できたら複数社と取引
・模型問屋5社の概要

についてお伝えしました。問屋との取引は担当者の質や性格もあります。あるい程度準備したら連絡をして検討しましょう。

しばらくの間はこのように随時必要と思われるトピックを端的に書いていこうと思います。質問、コメント等があればそちらを優先するかもしれませんのでよかったらコメントよろしくお願いします。

桐生模型学校 その4 - 模型・プラモデル問屋からの仕入れ” に対して2件のコメントがあります。

  1. 藍火慧主 より:

    調整区域と市街化区域の違い、メリットデメリットなどが知りたいです

    1. t-oz より:

      藍火慧主さん

      コメントありがとうございます。市街化区域と調整区域(市街化調整区域)の違いとメリット・デメリットですね。簡単にまとめます。
      市街化区域は率先して都市化をすすめるエリアで住宅は許可なく建てられます。
      市街化調整区域は上記の市街化を抑制するエリアで建築などに許可がいることになります。

      デメリット
      ・建築などに許可がいる
      ・売買がしにくい
      ・地価が安いのでローンなどの担保価値も低い
      ・下水などのインフラが整っていないことがある
      メリット
      ・土地が安い
      ・税金が安い

      ポイントは調整区域であっても建築、売買できないわけではなく自治体によって許可の基準が異なっているためすべてを把握できないのが現状だと思います。
      この不明瞭さから売買や建築を敬遠するところがあるのでしょう。調べるのが各地域ごとに異なるので面倒というのが本音かと。

      私の知り合いも老後に調整区域の住宅を購入・リフォームして住んでいる人もいます。将来的にずっと住み続ける前提であれば個人的には調整区域の物件はありだと思います。
      個人的な感想ですが都会だと市街化調整区域は少なく、田舎だとそもそも区域の指定がない、どちらかといえば地方都市のほうが調整区域が多いような気がします。

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