桐生模型学校 その6 - 転売の構図と転売屋への対応

ガンプラ「せどり」にバンダイも困惑は本当か?

先日のYahooニュースで下記のような記事がありました。

 ガンプラと呼ばれる人気アニメ「機動戦士ガンダム」のプラモデルを巡り、「せどり」と称した転売行為が相次ぎ、ホビーショップからも困惑の声が出ている。
(中略)
 バンダイスピリッツの広報担当者は8日、転売が相次ぐ状況について、J-CASTニュースの取材にこう説明した。 「ガンプラ発売40年で、絶版の1アイテムや限定版などを除き、2500種類すべてを今でも生産していて買うことができます。40年前の300円のでさえそうです。今までこういう問題は起きていませんでしたが、昨今のコロナ禍による巣ごもり需要が国内外で伸びてきて、生産できる上限以上になっています。転売が増えているとしたら、こういう時期だからということもあると思います」

Yahooニュースより

このニュースを読んだ普通の人は「ふーんそうなんだ」程度の認識でしょう。しかしホビーにたずさわっている人からすれば「いつものことですよ」という認識のはずです。それどころかマスク転売の騒動も冷静にみていたのではないでしょうか。こちらの扱っている商品は転売ばかりと。それほどまでに転売の巣窟になりやすい性質をもっています。今回はそのホビー業界における転売の構造を述べていきます。

バンダイが公式に転売ははじめてですと公言しているのは良く言ってもタテマエですね。「昔から転売がおきていることは知っています、でも何も対策はしてません」とはいえませんよね。現実的に起きていることは各部署の営業マンが一番承知しているわけですからはじめてとか知らなかったというには少々無理があると思います。

せどりと転売って違うの?

せどり転売イメージ
せどり転売イメージ

せどりと転売の違いはあるようですがホビー業界では同義ととらえて問題ありません。販売する場所(サイト)や仕入先などで呼称を変えていますが安く仕入れて高く売るという本質は変わりません。よってここでは転売もせどりも同義として扱います。「転売=悪」のイメージがついているようですがせどりも同じで転売そのものが悪というわけでありません。チケットやマスクの時に感じましたが転売行為はいつも行われているにも関わらず対策を講じてはいません。転売そのものが問題なのではなく、需要が急激に高まった時に問題にするという構図になっていると思います。本当に問題意識があるなら需要がたかまる前になんらかの対策を講じるのが一番効果的でしょう。

ここでは以後、せどりも転売も両方とも「転売」で統一します。また転売の善悪論は今回の範囲ではないので語りません。

ホビー商品が転売に向けている要素

ホビー商品、ガンプラのみならずフィギュア、ドール、ミニカーなどあらゆる対象物が転売の対象になりやすい。インターネットが転売を加速させたのは間違いありませんが昔から転売対象にはなりました。

テンバイヤー狂四郎誕生?

コミックボンボンに連載していた「プラモ狂四郎」第1話では発売したばかりのバンダイのGアーマーを手にして喜んでいます。プラモシュミレーションを作れるクラフトマンのオヤジさんもガンプラの仕入には苦労していたんですね。このあとライバルの丸山健があらわれ、「3割増しで買い取ってやる」と誘惑。もう少しでテンバイヤー狂四郎なるところでした。

さてホビー商品が転売に向いているのは以下の背景が存在するからです。

  1. 趣味や嗜好品は通常需要が限定されている
     普段は生産数がすくないので人気やブームになるとすぐに品薄になり、転売しやすい
  2. 需要が予測しにくい
     メーカー側も需要が予測しずらい。予測できればホビー・玩具メーカーは安泰ですがだいたいは外れる。とくにキャラクター商品は難しい
  3. 販売数が発売日がピーク
     発売以降、販売数がどんどん増えるのではなく急激に下降する。長く見ても発売日から1週間ぐらいが販売のピーク。あとは急激に売れなくなる
  4. ブームでの需要に応じた生産体制が構築できない
     需要が一時的なものなので生産設備を拡大できない
  5. メーカーが意図的に生産調整する
     たとえ売れていてもキャラクターを長く存続させるためにあえて作らない
     需要があっても再生産しないことが多い(※プラモデルを除く)
  6. 海外にも転売しやすい
     近年日本のアニメ・マンガが人気になっているので海外からの需要もある
     くわえて海外には「おもちゃ=こども向け」になるのでクオリティの高い商品がすくない

このようにホビー・玩具アイテムは昔から潜在的に転売に向いている商品であることが理解できるでしょう。

転売を加速させる原因

転売イメージ
転売イメージ

転売を加速させる要因はふたつあります。ひとつめははネットです。購入する側の利便性、買いやすくなっただけでなく売ることも容易になった点は見逃せないでしょう。

ふたつめはメーカーの市場に飢餓感をあたえようとする姿勢です。具体的には

・市場に流通する数量の調整
・流通経路にのせないメーカーによる直接販売

と思っています。メーカーを弁護するわけではありませんがホビーや玩具業界はブームに乗っかることで繁栄を築いています。ガンプラ、ミニ四駆、ベーブレードなどなど枚挙にいとまがありません。ブーム時の需要に供給をあわせるとブームはあっという間に終わってしまうので多少の調整は必要かもしれません。しかしながら恒常的に転売が跋扈するようになれば看過できないでしょう。

ホビーにおける転売の今後

当面は転売屋が横行する業界は継続するでしょう。理由としてはホビー業界はメーカーが一番権力をもっているので転売で苦労するお客さまや販売店の要望は聞こうとしません。(冒頭のようなさしあたりのない回答はしますが)

可能性があるとすれば業界外の声を高めるしかないでしょう。つまりは普段ホビー商品を購入しない人たちが声を上げるしかないと思います。幸い「転売」というワードがするべきではないという高まりがある今がチャンスと思います。外圧に弱いという点はホビー業界も同様です。今までさんざん要望して実現できないことが外圧で変化していった例はたくさんあります。JANコード、発売日変更のお知らせなど他の業界で当然おこなわれていることが公然と暗黙の了解として放置されてきました。

それまでの間は販売店や購入者が独自で対応するしかないでしょう。このあたりの内容は別の機会にお話ししたいと思います。

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